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月勝利編

「いいえ」
ニアは一体の、自分の指人形を拾い上げる。
「勝ちます。私の言う通りにしていただければ、必ず勝ちます」
そう言って、ニアは自分の人形を立たせた。
「いいですか?あのドアからその者が入ってきたらそのまま迎え入れ、ドアが少し開くだけなら気付かぬ振りをしてください」
「ば…馬鹿な…そんな事…」
松田がつぶやくように言う。そして相沢が、ゆっくりと口を開く。
「…ニア、これではまるであなたがキラ…ノートの存在を知る者全てが集まろうと言ったのはあなた。そして皆の名前をノートに書かせようと言っている…そう、思われても…」
しかし、と相沢が言葉を続ける。
「私は、あなたの言う通りにしよう…」
「ち、ちょっ、相沢さん、意味が!」
松田が横から口を挟む。
「……私も」
「模木…」
それぞれの言葉が交わされ、再びニアが声を発する。
「もう、来てます」
「えっ…」
声をあげたのは松田だけだったが、その場に居る全員が扉に視線だけを向けていた。ただニアと夜神月だけが互いを睨み合っていた。
そして、扉の外に立つ、人間界で生まれた「死神」の目にはそんな中の光景ではなく文字と数字しか見えていなかった。
Nate River Antony Carter Stephen Loud 模木 完造 Halle Bullook 松田 桃太 伊出 英基 相沢 周一 夜神 月
(神!)
寿命の見えない人物を発見し、魅上照は手元の紙切れにペンを走らせる。
(神の仰せの通りに)
「削除」
魅上は一人、そう呟いた。
Nate R
「削除…」
Nate River Anthony Car
「削除…削除…」
Nate River Antony Carter Stephen Loud Halle Bullo
「削除…削除…削除…削除…」
Nate River Antony Carter Stephen Loud Halle Bullook 模木 完造 松
「削除…削除…削除…削除…削除…削除…削除…削除…」
Nate River Antony Carter Stephen Loud Halle Bullook 模木 完造 松田 桃太 伊出 英基 相沢 周
「削除ォォォォォォォォ!!」
Nate River Antony Carter Stephen Loud Halle Bullook 模木 完造 松田 桃太 伊出 英基 相沢 周一
全ての名前が、書き込まれた。
その時。
「外に居る者」
携帯電話を通じて幾度か聞いた神の声だった。
「ノートに名前を書いたんですか?」
「…はい、書きました」
そこでしばらく間があった。そして、別の声が聞こえた。
「魅上照。もしよかったら中に入ってきてくれませんか?魅上照、あなたがキラの今の裁きをしているのは分かっています。名前を書いたのならもう怖くないでしょう、どうぞ中へ。それとも、キラに入るなと?」
そして再び、神から声がかけられた。
「魅上照?そうだ、隠れてないで中へ入ってこい」
(神…)
ゴロゴロと音を立てて扉が開く。戸口には一人の男が立っていた。
(魅上、よくやった…)
「神、仰せの通りに」
男、魅上は自身の神にそう伝えた。
「一人目の名前を書いてから、何秒ですか?」
神はそう問いかける。魅上は腕時計に目を落とす。
「………35、36、37」
月の表情が、徐々に笑みの形になっていく。
「38、39、40!!」
ドクン…
「!!…ば…馬鹿…な…」
ニアが苦痛に表情を歪める。
「ニア?どうし…」
レスターが言い終わらないうちに、ニアはその場に力なく倒れた。
「ニア!?」
ドクン…
「二…ァ…」
レスターが屈みこんだ体制から、不自然に倒れる。
「くそ、くそぉぉぉぉぉ!!」
ジェバンニが銃を抜き、月に向ける。
ドクン…
「う…あ…」
ジェバンニが銃を取り落とし、後ろに倒れる。
「ジェバンニ!」
ドクン…
悲鳴を上げたハルもその場にくず折れる。
「ま、まさか、そんな…」
ドクン…
「ぅぐっ…!」
松田の声を無視して模木が倒れる。
「も、模木さん!?」
ドクン…
「一体どうなって…う…ぁ」
松田が伊出に倒れ掛かる。
「松田!おい、松田!」
ドクン…
「松…ぐ…ぁ」
松田を支えていた伊出の体から力が抜けていく。
「月くん…まさか、本当に…」
月はゆっくりと振り向き、言った。
「さようなら、皆さん」
ドクン…
「うぐぅっ!」
最後の一人、相沢もまた、倒れた。
「魅上、よくやった」
「神が仰った通りにしたまでです」
「そう…か」
魅上の手には「DEATH NOTE」ではなく、一枚の紙切れが握られているだけだった。その小さな紙切れの正体は、魅上の靴の中に仕込まれていた、デスノートの切れ端だった。
月の計画とは、ここで魅上にSPKと日本捜査本部の人間を全て殺させること。しかし、ノートを隠し持っておくのでは、SPKにばれる確率が一気に高くなる。そのため魅上には常に身に付けていられるところにノートの切れ端を仕込んでおくよう伝え、偽のノートを作らせる一方で、切り取ったページを高田に送らせた。実際の裁きは高田に任せ、魅上には来たるべき日まで今までどおり生活してもらう。そうすることで、魅上がノートを持ち、普通に生活していることを尾行者に伝えた。本物は銀行の貸し金庫に仕舞い込ませ、28日、つまり今日、ここで決着がつくまで放置する。魅上はこれを忠実に実行していた。高田誘拐の時も神の教えに従い、高田を殺すためにノートは使わず、靴の中の切れ端に書き込んでいた。結果としてはその行為は無駄ではあったが、この時でさえ貸金庫のノートに手を出さなかったおかげでニアたちは貸金庫の本物に気付かなかったのだ。

銀行の貸金庫へ向かう月と魅上。貸金庫から取り出したデスノートを魅上が月に差し出す。月は無表情で受け取り、ノートに書き込む。
 弥 海砂
月は何の躊躇も無く書き終えたその名前を数秒ほど見つめ、しかしあくまで無表情に振り返ると、魅上の家へと向かった。月の後ろに立つリュークは、この決着を黙って見つめていた。

その後数十年にわたり、新世界の神「キラ」は君臨し続けた。神たる男とその右腕、そして一匹の死神は、「新世界」の後を継ぐものを探し始めていた。黒いノートを大切そうに抱えながら…。


あとがき
少し前に書いていたものが掘り起こされてここにやってきました。公式のストーリーでは魅上のノートがすりかえられて月が負けているわけですが、あの時月が勝つ方法もあったと思うんです。ノートをすりかえて安心しているニアたちですが、YB倉庫でリュークと話すまでは、切り取ったノートで殺せることは知らなかったはずなので、ソレを利用しました。   神の信者
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by DLMN | 2008-06-16 21:43
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