<< 【第四回】映画「バットマン」の... 【第二回】映画「バットマン」の... >>

【第三回】映画「バットマン」のヴィランたち

第三回だよー。

さて三回目の今回は映画バットマンシリーズの問題児こと「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」の悪役について話していこう。
前作「フォーエバー」以上に明るい作風、再びのキャスト変更で作られたバットマンアンソロジーのラストにあたる作品。企画されていた5作目が本作の不評によって企画ごと消滅したという問題児である。

映画自体はまぁ前作同様嫌いではないかなぁとは思うものの。前作にはまだ名残が感じられた一作目二作目のダークな雰囲気が完全に消え失せていたり、記事で触れていくように悪役が生かし切れていない感じがしたり、あまりにもCG頼みでセットの作りが雑だったり、気になるところがたくさんある。初っ端博物館を襲撃したフリーズの氷のセットがあまりにもチープすぎていきなりテンション下がる。一作目二作目の画面に映る景色が良くできていたから余計に気になる。残念な出来と言わざるを得ないなぁ。

・Mr.フリーズ(アーノルド・シュワルツェネッガー)
 /バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲 - 1997年
c0135432_22325281.jpg言わずと知れたアクション界の大物俳優シュワルツェネッガーが演じたのは氷点下の怪人Mr.フリーズ。
映画での設定は難病の妻を冷凍保存し、その治療法の研究中の事故で氷点下でしか生きられない体質になってしまった人物。冷凍スーツの出力にダイヤモンドを必要とするあたりも含めてまぁ概ね原作通りのキャラクターだと思う。
ただ、登場した瞬間にあちゃー、と思うのは彼のデザインだ。
ゴツゴツテカテカし過ぎじゃね?の割には動き軽いし、つーかそのスーツ顔出ちゃってね?思いっきり外気にさらされちゃってるけど大丈夫なの?氷点下維持できてんの?
一応スーツを脱いだフリーズが常温に耐えられない様子は映画の中でも描写されているのだが、その割にスーツのデザインや彼が途中囚われるアーカムアサイラムの部屋の様子などが設定の割に非常に雑というか、設定にそぐわないように見える。そのせいで絵面に説得力がないし、彼が氷点下でしか生きられない人物というのも疑わしく見えてしまう。
行動原理の全てが妻のためというのは非常にフリーズらしい動機だが、いくら妻を救われたとはいえ最後にあっさりバットマンと和解してしまう点も見過ごせない。
全体の明るい作風を見るに最後の和解は仕方ないのかなぁとは思うものの、基本的にバットマンシリーズの悪役とバットマンは同じような狂気や悲劇性を背負っていながら決して相容れないという関係性が見どころでもあると思うのだが、この映画のラストを見る限りではフリーズは完全に改心しているように思われる。なんというか、薄っぺらな子供向けの悪役みたいなオチだなぁと思わないでもない。
いろんなところで勿体ない、物足りないMr.フリーズだった。

・ポイズン・アイビー(ユマ・サーマン)
 /バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲 - 1997年
c0135432_23143797.jpg植物毒を浴びて変異した植物学者、ポイズン・アイビーことパメラ・アイズリーを演じたのはユマ・サーマン。
映画での設定は植物を偏愛し、植物を守るためなら人類滅亡をも辞さない植物学者・パメラが同僚が自分の研究成果を悪用し金儲けをしていたことを知り、その同僚に浴びせられた植物毒で体質が変化し文字通りの植物人間となった。
原作とは誕生の経緯は異なるものの犯罪行為を働く目的は原作と同様に植物を守るためである。能力も基本的には原作準拠であり、体内で生成したフェロモンで他社を操ったり、唇から毒を分泌してキスした相手を殺すなど原作やアニメ版で見られた能力を見せてくれている。
…にも関わらず、俺にはこのキャラクターがポイズン・アイビーとは思えなかった。理由は一つ。このアイビー、本当に植物が好きなのか…? と思わされる点が多いからだ。
植物を守るためなら人殺しも厭わない、というアイビーのスタイルでは人間<植物であり、アイビーは基本的にどんな理由があっても植物が傷つくことを容認しないと思うのだが…どういうわけかこのアイビーは、フリーズが考案したゴッサムを丸ごと氷漬けにする計画に喜んで加担している。そんなことをすれば現在ゴッサムに生きている植物たちが死ぬのは確実であるのに気に留める様子もない。一応その後に自分の生成した植物を植えて再生するとは言っているが…アイビーは現存する植物を滅ぼしてまで新たな植物を繁栄させたりするだろうか…?
そもそもフリーズに惚れてフリーズの妻の冷凍保存装置を止めたりするなど、植物以外のものに執着する場面も多く、本当に植物偏愛者のアイビーなのかと疑問を抱かざるを得ない部分が多い。
衣装などは非常によくできていると思うのだが、いかんせん思想と行動が矛盾しているように思う。悪役として薄く中途半端な存在になってしまっていると思う。「リターンズ」のキャットウーマンの劣化版のような印象を受けた。

・ベイン(ジープ・スウェンソン)
 /バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲 - 1997年
c0135432_23442208.jpgプロレスラーのジープ・スウェンソンが演じた、らしいのだが作中ではカタコトでしか話せない脳筋野郎な上にほぼずっとマスクをかぶっているのであまり演者は気にならない本作のベイン。
映画での設定は連続殺人鬼だったアントニオ・ディエゴがパメラの同僚の実験に利用され、植物毒から抽出された増強剤「ヴェノム」を注射されて怪力で命令に忠実な戦闘マシーンとなった。
最も原作と異なるキャラクターだと思われるベイン。そもそも原作では読書家で知能犯であるはずのベインがただの脳筋野郎になってしまっているのはどういうわけか。憤りを禁じ得ない。
しかも正直この映画に彼の居場所はないように思う。どういうわけかアイビーに従うボディガードのようなポジションになっているが、フェロモンで他者を操れるアイビーにわざわざこんな屈強なボディガードをつける必然性は物語の中に感じない。非常に薄っぺらな扱いで、人気の悪役を無理やり登場させたような感じがする。
デザインに関してだけは「ダークナイト ライジング」のベインよりも原作寄りのデザインになっていて好きだが、デザインが原作に近いがゆえに脳筋ぶりが余計気に食わないように見えてしまっている気もする。
必然性もなく、原作とはほとんど別物のキャラクターであり、見た目だけは原作に近い。なんとも中途半端でしょーもないキャラクターになってしまったベイン。原作ではバットマンの背骨を折り一時再起不能にするという非常に大きな役割を果たした悪役であるベインがバットマンと一対一の対決シーンもなく(バットマンと戦うシーンはあるがロビンと交互なうえアイビーとの会話にフォーカスされている場面のためベインが目立たない)いかにも使い捨てという感じで終わってしまったのが勿体なくて仕方ない。なぜこんな風にベインを使ったのだろう…。


以上。
せっかくいいポジションの悪役を三人も登場させたにもかかわらず、各々の設定や役割が穴だらけで勿体ない。悪役だけでなく本作で初登場したバットガールもなぜかアルフレッドの姪に変更されていたり(というかアルフレッドの姪っていくらなんでも年齢的に無理がないだろうか)、その彼女がさしたる訓練も積まないままにバットガールとして活躍しアイビーを倒してしまうというトンデモ展開。
Mr.フリーズとアイビーの企み、アルフレッドの病気、バットガールの誕生などいろいろな要素を強引に詰め込みすぎているせいもあり、全部が中途半端で要素が飽和しているように思える。要素の配分を誤った故に酷評される結果になったのではないだろうか。

次回は…実は内容未定だったりw
というのはamazonさんで注文した「バットマン オリジナルムービー」のDVDが届いたので、見る時間があればダークナイト三部作に行く前にオリジナルムービーを扱うかもしれないということで。
ま、誰も見てないからいいか。

[PR]
by DLMN | 2014-05-07 00:08 | 映画
<< 【第四回】映画「バットマン」の... 【第二回】映画「バットマン」の... >>